須賀秀夫の嘘

自然体のあらゆるものの上に立ち

言語の破壊本能を持つ人間は、

 

進化して、また進化して破壊本能をなくなってしまい、人間とは別の新しい存在となって、暴力を振るうとか銃を撃つとか、そんなことはぜんぜんせずに、ただ、ただ言語を破壊してなにかをもたらすために今日も頑張っている。すれ違うメッセージみたいに。代理戦争もなくなってしまった。人間はもう破壊本能を失っている。それを観察していた宇宙人須賀秀夫は、時が来たと思い、ほかの足元のない宇宙人たちを沢山招いて、ほら、もう人間は破壊本能を失っている、だから招待してもいいと云々、それを黙って聞いて足元のない宇宙人たちは、首を傾げるも地球に訪れた。
 
やっぱりそれは嘘だった。戦争は宇宙人たちを前に開かれた。まるで盛大なパーティみたいに。それを見て宇宙人たちは、おい須賀秀夫、ぜんぜん違うじゃないか、また戦争起こってるぞ、君の言うことがぜんぶ嘘だとは思わないが、人間に対したは大間違いだったと言って地球をそのまま去って行った。須賀秀夫は唖然とした。いや、まったく、人間っていうものはしょうがない。やれやれと須賀秀夫はまた宇宙に戻って、銀河連邦まで自分の船に乗って行った。それが須賀秀夫の、地球の最後の姿だった。宇宙人も、須賀秀夫も、そして魂も、また地球を訪れることなどなく、地球はそのまま氷期に入った。氷期に入った地球の未来は、また誰も知らず、加え誰も調べようとはしないまま放棄されている。